メトロノームに求める機能。高機能単機やソフトウェアが増えてきて、出来ることは多くなった。しかし殆どの場合必要なのは、正確な一定間隔でクリックを鳴らし続ける事だけだ。熟達すればするほど、必要な機能はシンプルになっていく。
2018年現在、かなりの人がスマートフォンを所持している。スマホは常に手元においておくことが多く、スマホ上のメトロノームアプリを使うというのは理にかなっている。ただし集中力を途切らせないように、機内モードにしておこう。
メトロノームアプリの利点。常に手元にある。クリック音が多彩なものが多い。そして音量調節が出来る。イヤフォンも使えれば、大きなスピーカーや今だとbluetoothで無線接続も可能だ。
ソフトウェアであることの弱点。これは各アプリのプログラミングの精度にもよるが、クリック間隔が正確ではなかったり撚れてしまうものが多い。ほかのアプリにCUPが占領されたりメモリが足りなくなったりすることで起こる。以下で僕が紹介するアプリは、まずこれが起こりにくいものを選んでいる。でも、出来れば他のアプリが裏で動いていない設定にしておくのが一番だ。ネット接続を切るのが最も簡単で早い。なので機内モード。
僕はiPhoneをメインのスマホとして使っている。(とても古いものだが)なので、まずはiOSのアプリを紹介する。
Tempo - Metronome メトロノーム
これが最も使用頻度が高い。有料。このアプリにはさらに上位機種と下位機種(無料)有り。
Time Guru Metronome
サブで使用中。有料。ユーザインタフェース(UI)がとても独特なので慣れるまでは大変かもしれないけれど、変拍子、ポリリズム等の練習には最強のメトロノーム。
これらのアプリの共通点は、設計者やアドヴァイザーに音楽家がついていることだ。Tempoは特にAdvanceではドラマーのMike Manginiがコンサルトしているし、Time GuruはJohn ScofieldのバンドのリズムギターリストAvi Bortnickのアプリだ。これがアプリの正確性や使いやすさにつながっていることは間違いない。ちなみにジャズミュージシャン御用達のiReal Proも、Lionel Louekeとの活動で知られるベーシスト Massimo Biolcatiのアプリ。
僕はAndroidではあまりメトロノームを試していないのだけれど、評判が良く使ってみても問題が無かったのでこれを入れている。
7Metronome
無料。
さて、使い方だけれど、上記でも書いた通りメトロノームとしての多機能性はほぼ必要ない。拍子の設定(何回かに1回別の音色のクリックが鳴る)も要らない。上達すればするほどシンプルな機能しか使わない。
速いテンポに挑戦する、遅いテンポに挑戦する、ちょっと上手くなってくるとこういうこともやりたくなるかもしれない。一応各アプリのBPMの上限と下限を。
Tempo 10-400
Time Guru 5-300
7Metronome 20-240
余り速くても遅くても、そんなに意味は無い理由を記しておく。
実際のビートが速いものに挑戦するのに、常に各拍、または裏拍を鳴らすという練習はあまりにもナンセンスだ。スペースが無いし、いくら技術的に弾けるようになるとしても意味のある音列が出てくる可能性はとても低く全く音楽的ではない。4拍目だけ鳴らす、2小節に1回だけ鳴らす、という風にスペースを作っていけば、結果メトロノームは一般的なBPM設定となる。
その逆にスペースを極大まで広げて、メトロノームは極度に遅い設定にするという練習方法がある。僕が知る限りギターリストでもBen Monder, Miles Okazaki, Lage Lund各氏が、そういった練習方法を紹介していた。しかしこれも、まず挑戦して難しさや大切さを味わうという意味では使えると思うが、普段ずっとBPM一桁を続けるというには、練習者の圧倒的レベル不足だ。この練習方法でも、一般的なメトロノームの下限30~40で十分難しいし意味がある。
追記 (2018年1月16日)
上記のFrozen Ape Pte. Ltd.によるTempoシリーズ(advanceはまだ無し)、そしてTime Guruですが、AndroidのPlay ストアに於いても確認しました。
Metronome: Tempo Lite
Metronome: Tempo メトロノーム
Time Guru Metronome
Tempo LiteはiOSと同じく無料ですので、試しにインストールして使ってみます。
iOSとappleの筐体そしてandroidの設計にはかなり差があります。そして長らく音楽系のアプリはiOSのみの独占状態となっていました。かなりアプリを作る上で制限があったのだと思います。今はどんどんandroidでもアプリや対応オーディオインターフェイスなど増えてきました。メトロノームの精度についてもiOSと同等の動作が可能なのかについても、試してみてリポートしたいと思います。同じ名称のアプリでも機能が違うところは確認しましたが、上記の通り僕はそういった追加機能は殆ど必要としないため、そこはパスです。